れーこの叫び                 

カ~メ、カメ、カメ、カメ♪



正月である
めでたいのである
今年も名古屋に帰らずの正月となった

大掃除もして、
おせちも用意した
あとはぐうたらするだけだ

いやいや、今年は、何かやるような・・・

そう、カメを預かってきたのだった
めでたい正月に めでたいカメ
う~~ん、いいとりあわせだ
ツルは千年、カメは万年
悪いことを言ってしまったら「ツルカメ、ツルカメ」
我が家に 縁のあるやつではないか


そう、餌をやんなくちゃ
死なかしたら、縁起が悪い
ああ、ツルカメ、ツルカメ

ああ、どうせなら何か芸を仕込めないかな
カメのお手ってかわいいよね
お手って言ったら この水かきの手を
指にひょいと乗せるの
よ~し、よし、よし、といって
餌をあげる
よし、これでいこう!

まずは 手づから餌、これからだね

野望を秘めたれーこは餌の粒を持って じっと水槽を見る
「カ~~メ、カメ、カメ、カメ♪」
じっと見返すカメ
ここから 何か始まるのか カメ
ともあれ 食いものじゃ カメ ホレ
あっ、逃げやがった、やんないぞ、ひもじいぞ
なんだよ、そんな陰から見て 悪人顔かわたしゃ
よしよし でてきたね
そうそう ひもじさには負けちゃうよねえ
さあ、お食べ
おっと、フライング、まだやんないよ~ん
さあ、カプ
食べた、食べた
2粒目、カプ♪3粒目、カプ
4粒目、いた~~~~!!かまれた!!
なにすんのよ、カメ

あんたはお手をすんのよ
噛んじゃダメでしょうが
あそうだ、はんぺんやカマボコ食べるかな
食べるよね
やろっと


ハンペンを見て用心するカメ
なんじゃこれ、
と、いったかどうか
でもやはり、うまそうに食べた
以来 はんぺんの方の食い付きが良い

さあ、今度こそ
お手をしてみようじゃないか、カメ
じっと ふたりは(?)見つめ合って
心通じて・・・・
「カメ、お手」「カプ」
いた==い!!、カメ!!
はんぺんまで、あげたのにい

いや、これは一日にしてならずぢゃ
心通じれば必ずや・・・!

それにしても 友人が
「で・カメの名前は」と聞きおったがカメはかめじゃ
しいていうならカメ吉
でも、うじゃうじゃいたらどうしよう
ええいやはり カメ1号2号ぢゃ
そう考えると カメの顔なんて 見分けつかないよな
よく「千と千尋の神隠し」の千尋は親のブタがわかったなあ
私、子どもがカメです
さあこの中からあんたの子どもを見つけなさい
見つからなきゃ 永遠にカメだよと言われても
絶対に あてれない自信がある
カメはカメの顔だもの
そんなことを つらつら考えていたら
変な夢を見た



そして、晴れの日も晴れの日も晴れの日も
(だって、晴れの日しかなかったもの)
着物姿で
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
「カメ、お手」「カプ」、いたーーい
1週間して思った
これはお手を教えているんじゃなくて
「カプ」を教えているんじゃなかろうか
どこがどう、間違ったんだろ
もしかして、わたしは カメに遊ばれたんじゃ・・・・
いや、そもそも カメは言葉がわかるんだろうか
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「どうよ、カメ」
物言わぬカメは 今日もつぶらな瞳で見つめ返す
挑発するように 瞬きまでする

そしたら ムスメが
「れーこが噛めっていてるジャン、カメは素直なだげじゃない」
え゛、な゛んだって
「いつも、まず 『カ~メ、カメ、カメ、カメ』っていうじゃない」

「・・・・あたしのせい!?」
(T_T)

「カメ、お手」「カプ」ってさせるかよ
でも死んだら困るから餌はあげよう
そして粒と指どっちに食いつくスリルを味わいながらの
餌やりが続いたのであった
ムスメに言われても
つい、蓋をあけるとき 性懲りもなく
「カ~~メ、カメカメカメ」
と言ってしまうれーこ

正月明け、カメはゆくゆく元に帰る
グルメになったのも、凶暴になったのも
れーこのせいだけど

う~~ん、だまっとこ

それにしても 一宿一飯の恩というではないか
浦島太郎には 飲めや踊れやの竜宮城
カメもカメのはしくれなら 何か恩返ししてくんないかな
夢でいいから、イケメンそろっての大宴会
う~~ん、いいねえ

よこしまな夢を抱く レーコであった

ツルカメツルカメ
お願いね カメ



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