れーこの叫び
ボヤキと叫びのバックナンバーから
名作をまとめて 本にしました
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お騒がせは父譲り


百箇日で名古屋に帰省していた
近頃、帰省というよりは二重生活の如くの頻度で名古屋に帰る
そこでまた騒動が・・・


うちの実家の横にあまりスペースがあって月極駐車場にしてある
そこと北側を区切るフェンスがあるのだが
今回帰ってみたらそれがブラブラ揺れている
????なんでまっすぐのはずのフェンスがブラブラ???
と、確認したら糸のこのような物でスパンと切られている
え~~~~~、何これ、何で切られているのよ
今北側の土地は更地になっていて向こうの道路に突っ切ればいけるから
通り抜けしてるのかしら
それだったら、またげばいいでしょ
何も切るこたあないじゃないよ
父が倒れてから他界、母も入院だから留守がちなのを見越してかしら
う~~ん、悔しいやら、気持ち悪いやら


妹に訊いても知らない、兄に訊いても知らない
管理会社に訊けば、裏の工事の関係でされたのかと思ってましたときた
ふざけるな、それならそれで報告して確認しろよ!!
何のための業務だ!!管理料だ!!!


どんどん怒りがヒートアップしてきた
よし、こうなりゃ聞き込みだあ
忙しい合間をかいくぐり、刑事さながらご近所に訊いて回った
しても、誰も知らない

無事百箇日を終えて、このヤマかたあつけるぜ、
これは器物損壊だあ
なれないことをすることにちょっとワクワクしながら通報しておまわりさんを待った
しばらくしたら、あらまあ若いさわやかおまわりさんが来るじゃありませんか

どうも私は制服フェチのけがあるらしい
思い返せば電車の中の弓道の弓をもつ男子高校生を見ては
袴姿はどんなにりりしいだろうとモエ、
もちろん弓道練習の袴姿にもモエ、
茶会の手伝いの時は袴姿の男の人にモエ、
とくりゃあ、警官制服なんてモエないはずはない
どうしても2割増しに見てしまうのであった

勢い、デレデレしつつ事情聴取をされる
あーーでこーーーでと説明した後、何と指紋採取なんてものまでしてくれた
「フェンスだからでるかなあ」とテレビで見たような光景にもう私は大興奮
いつも持っているんですか、とか
その粉は何なんですか、とか
ホントに紙でも付くんですか、とか
好奇心赴くまま聞いたのに兄ちゃん警官は嫌な顔一つせず
一生懸命答えてくれてと作業をこなしたのだった

「いやあ、法要で忙しいのに大変でしたね」なんてねぎらってくれたりする
はっと気付くと自分は喪服、百箇日法要のあとだからそのままなのだ
喪服でワクワクするのは不遜かしら、少しはしおらしい顔をすべきかしらん

「では、これで被害届を出します。困ったことがあれば、いつでも頼りにしてください」
と頼もしい言葉を残し兄ちゃんは帰って行った
フェンス切られたのは悔しいけど、ちょっと楽しかったなあと
上機嫌で晩御飯を食べていると
ピンポ~~~ン、「あのう、裏の家のものだけど」
何何、
「うちの父が言うにはね、あのフェンス切ったのはお宅の亡くなったおとうさんらしいのよ、
で、切って通り抜けできるようにしようとしたけどできなくて、
結局きれいに直してぱっと見わからなくしてあったんだって、
ちょうどそれを見てたんだって
ごめんね、はやく父にきけばよかったわ、誰も知らんくて」


はあああああ、もうよんじゃったのに警察
出しちゃったのに被害届
はしゃいじゃったのに、たっぷり


そりゃあ、誰も知らないわ
家族でさえ知らないもの
キーパーソンは裏のおじいちゃんだったのね

「わかりました、明日警察へいってきますから」
ああ、恥ずかしい、あの兄ちゃんいないといいな

そして次の日
警察へ出頭、昨日は喪服にちゃんとメイクしてたから
印象違ってもヤダナとメイクもして覚悟も決めた

受付で刑事課へのいき方を訊く
「どのようなごようけんで?」
いやあ昨日の被害届のことで・・・ゴニョゴニョ
ああ、兄ちゃんいないでええ、の祈りもむなしく扉をあけるとそこにいたあああああああ


「どうしました??」

こんな時までさわやかに聞く
「ごめんなさいっ」
事の顛末を平あやまりに謝りながら、被害届とりさげの調書を取られる
「えーーーーーっと、最後に今日の日付でサインをいただきます」
「はい2月12日」
「何かさっきも聞いたなあ、その日付???」
ああ、気付かないで
「ああ、誕生日ですね、きょう」
はい、そーです
しばらく顔を見合わせて、兄ちゃんは苦笑というかこらえきれない笑いを小刻みに出して笑っていた
「そーなんですよ、いい記念です、誕生日に調書作成って」
自虐ネタをふったらさらに笑われたのだった

「何もなくて良かったです
また、困ったらよんで下さい」
さすが市民の味方、あくまでもさわやかにいう
よし、また兄ちゃんにきてもらおう
懲りないれーこだった


そして帰宅してムスメが
「あっプレゼントかってない」
想定内です
「レーコは何が欲しいの」
「・・・・・・・、愛」
「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・ルイージ、貸そうか」
(※ルイージとはムスメの彼、通称ルイージなので私はもはや本名を忘れている)
「それもいいかも」


いつの日かムスメが彼にリボンをつけて誕生日によこすのを楽しみに待っていよう



今回はっきりしたことは
お騒がせなのは遺伝だったという事である




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